カドベッカ書店

「日本一小っちゃな本屋さん」で心あたたまる体験を

三陸鉄道吉浜駅から徒歩5分の場所に「日本一小っちゃな本屋さん」があります。
その名も「カドベッカ書店」。取り揃えるのは、オーナーの小松則也さんが制作したオリジナル作品4冊です。

自宅の一角を活用した小さな本屋ですが、そのあたたかな空間を求めて、全国から足を運ぶお客さんが絶えません。

2017年には、「岩手復興ドラマ」にて絵本制作のエピソードがドラマになりました。震災の教訓を次世代に引き継ごうと取り組む小松さん一家の姿に、胸を打たれた人も多かったはずです。

そんなカドベッカ書店の誕生秘話や作品に込めた願いなど、貴重なお話を伺いました。

「奇跡の集落」から届ける4冊

取り揃えているのは、「ふろしきづつみ」・「浜の命」・「ももいろゆうびんきょく」・「吉浜のつなみ石」の4冊。

小松さんの様々な思いが詰まった、大船渡にまつわるかけがえのない本です。より多くの方に届くよう、全て英訳されています。

中でも絵本「ふろしきづつみ」は2011年3月11日の巨大津波での、ご自身の被災体験を記した一冊。県立高田病院に入院していた父親のお見舞いに行った先で被災したという、当時の状況を丁寧に描いています。

病室に津波が押し寄せ、父親が寝ていたベットが波に浮かび上がる様子など、思わず息を呑むシーンの数々。文字やイラストが伝える、ノンフィクションだからこその重みに圧倒されます。

「ふろしきづつみ」は、震災の教訓を伝えるための読み聞かせ等でも活躍中。気仙大工職人を描いた物語「浜の命」と合わせて、ユネスコスクール公式ウェブサイト「教材ルーム」にも登録されています。次世代に引き継ぎたい貴重な絵本です。

取り揃えているのは、「ふろしきづつみ」・「浜の命」・「ももいろゆうびんきょく」・「吉浜のつなみ石」の4冊。

小松さんの様々な思いが詰まった、大船渡にまつわるかけがえのない本です。より多くの方に届くよう、全て英訳されています。

中でも絵本「ふろしきづつみ」は2011年3月11日の巨大津波での、ご自身の被災体験を記した一冊。県立高田病院に入院していた父親のお見舞いに行った先で被災したという、当時の状況を丁寧に描いています。

病室に津波が押し寄せ、父親が寝ていたベットが波に浮かび上がる様子など、思わず息を呑むシーンの数々。文字やイラストが伝える、ノンフィクションだからこその重みに圧倒されます。

「ふろしきづつみ」は、震災の教訓を伝えるための読み聞かせ等でも活躍中。気仙大工職人を描いた物語「浜の命」と合わせて、ユネスコスクール公式ウェブサイト「教材ルーム」にも登録されています。次世代に引き継ぎたい貴重な絵本です。

消えゆく歴史を次世代に

カドベッカ書店がある吉浜地区は、2011年の震災において人的被害が少なく「奇跡の集落」と呼ばれています。

大きな被害を免れたのは、明治三陸大津波(1896年)と昭和三陸津波(1933年)に見舞われたのちに、海から離れた高台へと集団移転を成し遂げていたからです。

今となっては馴染みのある「高台移転」の施策ですが、まちをあげて行われたのは吉浜が日本初だと小松さんが教えてくださいました。

命を守る先進的な取り組みは、100年以上前にこの集落から始まったのです。

消えゆく歴史を次世代に

カドベッカ書店がある吉浜地区は、2011年の震災において人的被害が少なく「奇跡の集落」と呼ばれています。

大きな被害を免れたのは、明治三陸大津波(1896年)と昭和三陸津波(1933年)に見舞われたのちに、海から離れた高台へと集団移転を成し遂げていたからです。

今となっては馴染みのある「高台移転」の施策ですが、まちをあげて行われたのは吉浜が日本初だと小松さんが教えてくださいました。

命を守る先進的な取り組みは、100年以上前にこの集落から始まったのです。

そんな誇りあるまちづくりの歴史を次世代に継承するのに一役買っているのは、絵本「ももいろゆうびんきょく」。

実在する桃色の旧郵便局を舞台にしたやさしい創作物語です。

1937年に高台に建てられたこの桃色の旧郵便局は、繰り返しまちを襲った震災の被害を受けながらも、住民と共に歩んできた建物。1988年の閉局後も吉浜を見守り続けている、まちのシンボル的な存在です。

しかし現在、老朽化が進んでおり、近い未来には取り壊されてしまうかもしれないのだとか。

「せめても絵本という形で後世に伝えたい」という小松さんの力強い思いが細部にまで込められており、物語の世界にグッと引き込まれます。

そんな誇りあるまちづくりの歴史を次世代に継承するのに一役買っているのは、絵本「ももいろゆうびんきょく」。

実在する桃色の旧郵便局を舞台にしたやさしい創作物語です。

1937年に高台に建てられたこの桃色の旧郵便局は、繰り返しまちを襲った震災の被害を受けながらも、住民と共に歩んできた建物。1988年の閉局後も吉浜を見守り続けている、まちのシンボル的な存在です。

しかし現在、老朽化が進んでおり、近い未来には取り壊されてしまうかもしれないのだとか。

「せめても絵本という形で後世に伝えたい」という小松さんの力強い思いが細部にまで込められており、物語の世界にグッと引き込まれます。

「地元をなんとかしたい」。震災後に見つけた「光」とは

もともと大学時代に美術を専攻していたという小松さん。
ふるさと吉浜や震災にまつわる絵本を描き始めたのには、吉浜にある「津波石」が影響していると言います。

津波石とは、1933年の昭和三陸津波で沖から約200メートルも打ち上げられた大きな石のこと。重さは約30トンにもなり、当時の津波の威力を物語ります。

石には震災にまつわる先人からのメッセージが刻まれており、貴重な記念碑として守るべきものです。

しかし、1970年代の道路工事の際に津波石は土の下に埋められ、その存在は長年隠されていました。

そして東日本大震災により、津波石は再び地上に姿を現します。

そのニュースを目にした時のことを小松さんは「すごいショックでした。悪いショックではなく、トンネルでいえば出口の光を見つけたような衝撃でした」と語ります。

もともと大学時代に美術を専攻していたという小松さん。
ふるさと吉浜や震災にまつわる絵本を描き始めたのには、吉浜にある「津波石」が影響していると言います。

津波石とは、1933年の昭和三陸津波で沖から約200メートルも打ち上げられた大きな石のこと。重さは約30トンにもなり、当時の津波の威力を物語ります。

石には震災にまつわる先人からのメッセージが刻まれており、貴重な記念碑として守るべきものです。

しかし、1970年代の道路工事の際に津波石は土の下に埋められ、その存在は長年隠されていました。

そして東日本大震災により、津波石は再び地上に姿を現します。

そのニュースを目にした時のことを小松さんは「すごいショックでした。悪いショックではなく、トンネルでいえば出口の光を見つけたような衝撃でした」と語ります。

当時、震災の影響で父親を亡くし、さらには日本中で報道される福島の原発事故などの暗いニュースに胸を痛めていた小松さん。
吉浜の津波石の出現は、未来を照らす希望の「光」となりました。そして「(津波石のことは)地元の人間が、後世へ伝える責任がある」と直感的に思ったといいます。

「津波石の発見は、本を描いたきっかけであり、私の原点です」

※津波石のさらなる詳細は、カドベッカ書店に蔵書されている、震災学習テキストの「吉浜のつなみ石」をぜひお読みください◎

そうして2013年に始まったカドベッカ書店。
「日本一小っちゃな本屋さん」と自称していますが、そこに込められた思いや、未来への希望は計り知れない大きさです。

震災の記憶を繋ぐ4冊の本。
あなたから、そして次の世代へと受け継いでいきませんか?ぜひ、吉浜のカドベッカ書店へ。

ライター 臼山小麦
(長野県出身。2022年の春、大船渡市に移住し「地域おこし協力隊」として活動する。大の旅好きでバックパック一つでどこへでも飛び回る行動派。大船渡の人や土地の魅力を知り、世界へ発信したいという想いで取材を行う。好きな食べ物は牡蠣。)

カドベッカ書店の基本情報

2023年12月 更新

電話番号0192-45-2337
定休日不定休
住所三陸町吉浜上野102
駐車場普通自動車2台程
その他 ・現金のみ
・立ち寄り可
PRとても小さな可愛らしい本屋さんです。吉浜地区は、先人の教えを守り高台に家を建てていた為、東日本大震災で大津波に襲われた際も被害の少なかった「奇跡の集落」と呼ばれており、それにまつわる絵本等を販売しています。

カドベッカ書店の投稿一覧

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